目尻にできたものもらいで眼科を受診すると、多くの場合、まずは抗菌薬や抗炎症薬の点眼薬、あるいは眼軟膏が処方されます。しかし、これらの薬物療法だけでは改善しない、あるいは症状が重い場合には、より積極的な治療法が選択されることがあります。目薬以外の治療法について知っておくことは、医師との相談の上で、自分に合った最適な治療を選択する助けとなります。まず、細菌感染による「麦粒腫」で、膿が大量に溜まり、まぶたがパンパンに腫れて痛みが強い場合に行われるのが、「切開排膿」です。これは、局所麻酔をした上で、膿が溜まっている部分の皮膚、あるいはまぶたの裏側の結膜を、注射針やメスで小さく切開し、中に溜まった膿を押し出して排出する処置です。膿を出すことで、圧力が下がり、痛みや腫れが劇的に改善します。切開と聞くと怖く感じるかもしれませんが、処置自体は数分で終わり、治癒を早める上で非常に効果的な治療法です。次に、痛みのないしこりである「霰粒腫」が、薬物療法で改善しない場合や、非常に大きい場合に行われる治療法をいくつか紹介します。一つは、「ステロイド局所注射(ケナコルト注射)」です。これは、霰粒腫のしこりの中に、直接、強力な抗炎症作用を持つステロイド薬を注射する方法です。注射によって、しこりの原因である肉芽組織の炎症を鎮め、萎縮させることで、外科的な切開をせずにしこりを小さくする効果が期待できます。ただし、一度で小さくならない場合は複数回の注射が必要になったり、皮膚が薄い人では、注射した部分の皮膚が白くなったり、薄くなったりする副作用のリスクもあります。そして、最も確実性の高い治療が、「霰粒腫摘出術」です。これは、局所麻酔下で行われる日帰りの小手術で、まぶたの裏側の結膜を数ミリ切開し、原因となっている霰粒腫の内容物(溜まった脂や肉芽組織)と、再発の原因となる袋(被膜)を、掻き出すようにして完全に取り除きます。通常、皮膚側は切開しないため、顔の表面に傷跡が残る心配はありません。手術時間は10~15分程度です。どの治療法を選択するかは、ものもらいの種類、大きさ、炎症の程度、そして患者さん自身の希望やライフスタイルなどを総合的に考慮して、医師と十分に相談した上で決定されます。
ものもらいで眼科を受診、目薬以外の治療法とは