あれは数年前の冬のことでした。最初は、いつもの風邪と同じように、喉の軽いイガイガ感から始まりました。私は「また風邪か」と軽く考え、市販の風邪薬を飲んで早めに就寝しました。しかし、翌朝、目を覚ました私を待っていたのは、今までに経験したことのない、喉を焼かれるような激痛でした。唾を飲み込むことすら、ガラスの破片を飲み下すかのような苦痛で、自然と涙が滲みます。熱も39度近くまで上がり、体中の関節が悲鳴を上げていました。全身症状があったため、最初は近所の内科を受診しようかと考えました。しかし、他のどの症状よりも、とにかく「喉の痛み」が異常に突出していることが、どうしても気になりました。これはただの風邪ではないかもしれない。そう直感した私は、少し遠いけれど、評判の良い耳鼻咽喉科専門のクリニックへ向かうことにしました。待合室で待っている間も、自分の唾液を飲み込むことができず、ティッシュに吐き出すしかありませんでした。診察室に呼ばれ、医師に症状を伝えると、すぐに「では、喉の奥をカメラで見てみましょう」と言われました。細い管状の内視鏡が鼻から挿入され、モニターに私の喉の奥が映し出されると、医師の表情が少し険しくなりました。そこに映っていたのは、真っ赤に腫れ上がり、白い膿がびっしりと付着した、見るからに痛々しい扁桃腺でした。診断は、「急性化膿性扁桃炎」。医師は、「これはつらかったでしょう。内科だと、ここまで奥の状態は詳しく見えませんからね。耳鼻科に来て正解でしたよ」と言ってくれました。その言葉に、私は心から安堵しました。治療は、まず喉に直接、麻酔薬と消炎剤を噴霧する処置から始まりました。その瞬間、あれほどひどかった痛みが、嘘のようにすっと和らいだのです。その後、抗生物質の点滴を受け、内服薬を処方されて帰宅しました。もしあの時、私が内科を選んでいたら、おそらく「重い風邪ですね」と診断され、点滴を受けることも、専門的な喉の処置をしてもらうこともなかったでしょう。喉の痛みが主役の時は、喉の専門家へ。この体験は、適切な診療科を選ぶことの重要性を、私の体に深く刻み込んだ教訓となったのです。
私が耳鼻咽喉科を選んで正解だった激しい喉の痛み