子どもの突然の高熱と、その後に現れる発疹。この組み合わせは、突発性発疹の典型的な症状ですが、一方で、麻疹(はしか)や風疹、川崎病など、他の重要な病気の可能性も頭をよぎり、保護者を不安にさせます。「これは本当に突発性発疹なのだろうか」「いつまで自宅で様子を見ていて良いのだろうか」という疑問に、どう向き合えばよいのでしょうか。まず、突発性発疹と他の病気を見分ける上で、最も重要なポイントは、「熱と発疹の出現するタイミング」です。突発性発疹の最大の特徴は、「熱が下がった後」に発疹が現れることです。これに対し、他の多くの発疹性疾患は、「高熱と同時期」に発疹が出始めます。例えば、「麻疹(はしか)」は、高熱と共に、咳や鼻水、目の充血といったカタル症状が強く現れ、口の中にコプリック斑という白い斑点が見られた後、熱がさらに上昇するタイミングで、耳の後ろから発疹が出始めます。発疹は次第に融合し、治った後には色素沈着が残ります。「風疹」は、発熱は比較的軽度なことが多く、発熱と同時に、細かい赤い発疹が顔から全身に広がります。首のリンパ節の腫れも特徴的です。「アデノウイルス感染症」でも、高熱と発疹が出ることがありますが、喉の強い痛みや目の充血といった症状を伴うことが多いです。これらの違いを知っておくことは、過度な不安を和らげる助けになります。では、受診のタイミングはいつが良いのでしょうか。高熱が出ただけの段階では、たとえ医師であっても、突発性発疹と確定診断することはできません。しかし、子どもが以下の様な状態であれば、すぐに医療機関を受診する必要があります。それは、「ぐったりして元気がない」「水分補給が全くできない」「顔色が悪い」「呼吸が苦しそう」、そして「けいれんを起こした」場合です。特に、突発性発疹では、高熱に伴う「熱性けいれん」を起こすことがあるため、その際は慌てずに体を横向きにし、衣服を緩め、時間を計りながら、けいれんが収まった後に速やかに受診してください。元気があり、水分が摂れていれば、夜間や休日に無理に救急外来を受診する必要はありませんが、不安な場合は、電話相談などを利用するのも良いでしょう。突発性発疹は、「後付け診断」の病気です。熱が下がり、特徴的な発疹が出て初めて、「ああ、やっぱりそうだったのか」と分かるものなのです。