霰粒腫は、一度治っても、体質や生活習慣によっては何度も再発を繰り返すことがある、非常に厄介な病気です。まぶたのしこりに悩まされないためには、日頃からその原因となるマイボーム腺の詰まりを防ぐための予防策を意識することが何よりも重要になります。その基本となるのが、「まぶたを清潔に保つ」ことです。特に女性の場合、アイメイクがマイボーム腺の出口を塞いでしまう大きな原因となります。アイライナーやマスカラ、アイシャドウなどが、まぶたの縁に残ったままになっていると、油分のスムーズな排出が妨げられてしまいます。一日の終わりには、必ずアイメイク専用のリムーバーを使って、まつ毛の生え際まで丁寧に、そして優しくメイクを落とし切ることを習慣にしましょう。洗顔の際に、まぶたの縁を意識して洗うことも大切です。この、まぶたの縁を清潔にするケアを「リッドハイジーン(Lid Hygiene)」と呼び、霰粒腫やドライアイの予防・改善に非常に効果的とされています。次に、血行を促進し、油分の詰まりを予防する「温罨法(おんあんぽう)」を日常的に取り入れるのも良い方法です。毎日数分、蒸しタオルや温熱アイマスクで目元を温めることで、マイボーム腺に固まった油分が溶け出し、スムーズに排出されるのを助けます。リラックス効果も高いため、一日の疲れを癒す習慣としても最適です。また、「食生活の見直し」も間接的に影響します。脂っこい食事や、動物性脂肪の多い食事に偏ると、マイボーム腺から分泌される油分の質が変化し、粘り気が増して詰まりやすくなるとも言われています。魚に含まれるオメガ3脂肪酸などは、油の質をサラサラにする効果が期待できるため、青魚などを積極的に食事に取り入れると良いでしょう。さらに、ストレスや睡眠不足、疲労は、ホルモンバランスや免疫機能の乱れを介して、体全体のコンディションに影響を与えます。規則正しい生活を送り、心身の健康を保つことも、まぶたの健康を維持するためには欠かせない要素です。これらの地道な予防策を日々の生活の中に組み込むことで、厄介な「痛くないものもらい」の再発リスクを大きく減らすことができるのです。
痛くないものもらいを繰り返さないための予防策