私はかつて、瞼の裏に異変を感じたことがある。外見上は全く変化がないのに、瞬きをするたびに何かが擦れるような不快感と、時には軽い痛みが伴った。最初は気のせいだと思っていたが、症状は徐々に悪化し、日常生活にも支障をきたすようになった。特に、集中して何かを見ているときや、疲れているときに痛みが強くなる傾向があった。この見えない症状に、私は不安を感じずにはいられなかった。インターネットで自分の症状を検索してみると、「内側ものもらい」という言葉にたどり着いた。正式には「内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)」と呼ばれ、瞼の裏にあるマイボーム腺という皮脂腺が細菌感染を起こし、炎症を起こす状態だという。外側ものもらいのように瞼の表面が赤く腫れるわけではないため、見過ごされがちだが、不快感や痛みを伴う厄介なものらしい。まさに私の症状と一致しており、自分の体で何が起こっているのかを理解できただけでも、少し安心したのを覚えている。内側ものもらいの原因として一般的なのは、ブドウ球菌などの細菌感染だ。不潔な手で目を触ったり、コンタクトレンズのケアが不適切だったりすることが原因となることが多い。また、ストレスや睡眠不足などで免疫力が低下していると発症しやすいとも言われている。私の場合、仕事の多忙さから睡眠不足が続いており、体調も万全ではなかった。そうした状況が、今回のものもらいの発症に繋がったのかもしれないと反省した。この見えない敵と闘うために、私は迷わず眼科を受診した。専門医に診てもらうことが、最も早く的確な解決策だと考えたからだ。診察では、医師が私の瞼を丁寧に診察し、内側ものもらいであると診断してくれた。そして、炎症の程度や症状に合わせて、抗菌作用のある点眼薬と、炎症を抑えるための内服薬を処方してくれた。医師からは、薬の正しい使い方だけでなく、日常生活での注意点についても詳しく説明があった。特に、目を清潔に保つことと、目を擦らないようにすることが強調された。洗顔の際には、瞼の縁まで丁寧に洗うこと。そして、手で目を触る前には必ず手を清潔にすること。これらの基本的な習慣が、目の健康を守る上でいかに重要であるかを改めて教えてもらった。薬を使い始めて数日で、私の目の不快感は劇的に改善された。