目尻が赤く腫れ上がり、瞬きをするたびにズキズキと痛む。時には、膿が溜まって白い点がぽつりと見えることもある。これは、細菌感染によって引き起こされる「麦粒腫」が、目尻にできた時の典型的な症状です。この急性の炎症反応に見舞われた時、自己流の間違った対処をしてしまうと、症状を悪化させたり、治癒を遅らせたりする可能性があります。正しい初期対応を知っておくことが、苦痛を最小限に抑え、速やかな回復への鍵となります。まず、最も重要なのは「絶対に触らない、潰さない」ことです。痛む部分や膿点を、気になって指で触ったり、ましてや自分で潰そうとしたりするのは厳禁です。指には無数の細菌が付着しており、患部に触れることで、さらに細菌を持ち込んで炎症を悪化させる原因となります。また、無理に膿を押し出すと、細菌が周囲の組織に散らばってしまい、炎症がまぶた全体に広がる「眼瞼蜂窩織炎(がんけんほうかしきえん)」という、より重篤な状態を引き起こす危険性もあります。膿は、自然に破れて排出されるか、あるいは眼科での適切な処置によって排出すべきものです。次に、「アイメイクとコンタクトレンズは直ちに中止する」ことです。アイライナーやマスカラなどの化粧品は、患部を刺激し、細菌の温床となります。また、コンタクトレンズの装用は、まぶたへの物理的な刺激になるだけでなく、レンズとまぶたの間に細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。症状が完全に治まるまでは、眼鏡で過ごすようにしましょう。そして、初期の対応として有効なのが「冷やす(冷罨法)」ことです。ズキズキとした痛みや強い赤みは、炎症が活発に起きているサインです。このような時に温めてしまうと、血行が促進されて、かえって腫れや痛みを増強させてしまいます。清潔なガーゼで保冷剤を包み、まぶたの上から優しく数分間当てるなどして、炎症を鎮めましょう。ただし、これらはあくまで応急処置です。麦粒腫の治療の基本は、原因となっている細菌を叩くための「抗菌薬」です。市販の抗菌目薬で様子を見るという選択肢もありますが、症状が強い場合や、2~3日経っても改善しない場合は、必ず眼科を受診してください。眼科では、適切な抗菌点眼薬や眼軟膏、場合によっては内服の抗菌薬が処方され、より確実で迅速な治療が受けられます。
目尻の麦粒腫、ズキズキ痛む時の正しい対処法