アイライナーでくっきりと引かれたキャットライン、幾重にも重ねたグラデーションのアイシャドウ、そして長くカールしたまつ毛を演出するマスカラ。アイメイクは、多くの女性にとって、目元を魅力的に見せるための欠かせないテクニックです。しかし、このアイメイクが、目尻にできるものもらい、特に霰粒腫の大きな原因となり得ることを、私たちは知っておかなければなりません。その理由は、メイクアップの行為そのものと、その後のクレンジングの不徹底にあります。まず、アイメイクのプロセスを考えてみましょう。まつ毛の生え際、ギリギリの部分にアイラインを引く「インサイドライン」や、粘膜部分にまでラインを引く行為は、マイボーム腺の小さな開口部を、化粧品の粒子で直接塞いでしまうリスクが非常に高いです。マイボーム腺は、涙の蒸発を防ぐための大切な油分を分泌する場所。その出口が塞がれてしまえば、油分は行き場を失い、腺の中に溜まって霰粒腫を形成します。また、ビューラーでまつ毛を上げる際に、まぶたを強く引っ張ったり、挟んだりすることも、まぶたへの物理的な刺激となり、腺の正常な働きを妨げる可能性があります。そして、それ以上に問題となるのが、「不完全なクレンジング」です。一日の終わりに、疲れているからと、通常のクレンジング剤で顔全体を一度に洗って済ませてはいないでしょうか。ウォータープルーフのマスカラや、密着度の高いジェルライナーなどは、専用のポイントメイクリムーバーを使わなければ、完全には落ちません。まつ毛の生え際や、目尻の細かい部分に残ったメイク汚れは、睡眠中にマイボーム腺を塞ぎ続ける、いわば「蓋」の役割を果たしてしまいます。さらに、汚れたメイクブラシやチップを使い続けることも、雑菌を目元に運ぶ原因となり、麦粒腫のリスクを高めます。目尻のものもらいを予防するためには、アイメイクとの付き合い方を見直すことが不可欠です。インサイドラインは避け、メイクをする際は清潔な器具を使う。そして、夜は必ずポイントメイクリムーバーをコットンに含ませ、優しく、しかし確実に、目尻の隅々までメイクを落とし切る。この地道な習慣が、あなたのまぶたの健康を守るための最も効果的な防御策となるのです。
目尻のものもらいとアイメイクの危険な関係