ある朝、目覚めると右目に違和感があった。瞬きをすると、何かが瞼の裏で擦れるような感覚。痛みというほどではないが、不快感が一日中続き、仕事にも集中できない。鏡で目をよく見てみても、赤みも腫れも全くない。外からは何の異常も見えないのに、この不快感は何なのだろうか。まさか、目の奥に何かできものができているのかと、漠然とした不安が募っていった。数日が経つうちに、不快感は軽い痛みに変わり始めた。特に、下を向いたり、目を強く閉じたりすると、その痛みが顕著になる。これはただの疲れ目ではない、そう確信した私は、インターネットで自分の症状を詳しく検索してみた。すると、「内側ものもらい」という言葉が目に飛び込んできた。瞼の裏側にある脂腺、マイボーム腺に細菌が感染して炎症を起こすもので、外からは見えないのが特徴だという。まさに私の症状と一致していた。しかし、なぜ私に内側ものもらいができてしまったのだろうか。特別目を不潔にしていたつもりもないし、コンタクトレンズも毎日きちんとケアしている。考えられるのは、最近の過労と睡眠不足だった。仕事が立て込んでおり、連日残業続きで、体調を崩しがちだったのだ。免疫力が低下すると、普段なら問題ないような細菌でも感染しやすくなると聞いていたので、それが原因ではないかと推測した。不安な気持ちを抱えながら、私は眼科を受診した。診察室に入ると、優しい雰囲気の医師が私の話を丁寧に聞いてくれた。症状を説明し終えると、医師は私の目をマイクロスコープで詳しく診てくれた。瞼の裏をめくり、光を当てて炎症の様子を確認する。数分間の診察の後、「やはり内側ものもらいですね。まだ初期段階なので、しっかり治療すればすぐに良くなりますよ」と告げられた。その言葉に、胸のつかえが取れたような安堵感を覚えた。処方されたのは、抗生物質の点眼薬と、炎症を抑えるための飲み薬だった。医師からは、点眼薬は指示された回数と量を守って正確に点眼すること、そして飲み薬も最後まで飲み切ることの重要性が伝えられた。また、症状が改善しても自己判断で治療を中断しないようにと注意も受けた。加えて、目を清潔に保つことや、目を触らないようにすることなど、日常生活での注意点も具体的に教えてもらった。