眠れない日々が続き、心身ともに限界を感じている。インターネットで調べると「心療内科」や「精神科」を受診することが勧められているけれど、どうしてもその一歩が踏み出せない。そんな風に、メンタルクリニックへの受診に高いハードルを感じている方は、決して少なくありません。「精神科」という言葉の響きから、何か特別な人が行く場所だという誤解や偏見が、まだ社会の根底にあるからかもしれません。しかし、実際には、心療内科や精神科は、私たちが風邪をひいた時に内科へ行くのと同じように、心の不調を感じた時に誰もが気軽に相談できる場所なのです。まず、「心療内科」と「精神科」の違いについてですが、心療内科は主に、ストレスなどの心理的な要因が体に症状として現れる「心身症」を扱います。例えば、ストレスで胃が痛くなる、頭痛がする、そして眠れなくなるといった症状がこれにあたります。一方、精神科は、気分の落ち込み(うつ病)や強い不安(不安障害)、幻覚や妄想といった、心の働きそのものの不調を専門とします。とはいえ、両者の領域は重なる部分も多く、不眠という症状はどちらの科でも専門的に診てもらうことができます。クリニックの雰囲気も、昔のイメージとは大きく異なり、明るく落ち着いたカフェのような内装の場所が増えています。待合室では、ごく普通の人々が静かに本を読んだりスマートフォンを見たりして過ごしており、特別な緊張感はありません。初めての診察では、医師があなたの話を丁寧に聞いてくれます。いつから眠れないのか、どんなことで悩んでいるのか、日中の体調はどうか。誰にも言えずに一人で抱え込んできた悩みを専門家に話すだけでも、心が少し軽くなるのを感じるはずです。薬の処方についても、あなたの希望や不安をしっかりと聞きながら、最適な方法を一緒に考えてくれます。心の不調は、我慢すれば治るというものではありません。勇気を出して専門家の力を借りることが、あなたを苦しい夜から救い出す最も確実な道なのです。