産婦人科を受診した際に、医師から「特に異常はありませんね」という一言で診察を終わらされないためには、患者側にも情報を「戦略的に伝える技術」が求められます。医師は科学的な根拠に基づいて判断するため、曖昧な表現ではなく、数値や具体的なエピソードを好みます。まず、受診の際には必ず「生理痛日記」を持参してください。いつ痛みが始まり、どのくらいの時間続いたか、痛み止めの種類と飲んだ錠数を一ヶ月単位で記録します。もし一回の生理で市販の薬を一箱使い切ってしまうようなら、それは明らかに「正常」の範囲を超えています。次に、日常生活への「支障」を具体化します。「なんとなく辛い」ではなく「痛みのあまり仕事中に三十分以上トイレから出られなかった」「歩行中に倒れそうになり、他人に助けてもらった」といった、第三者が見ても異常だと分かる事実を伝えてください。また、随伴症状のチェックも重要です。生理痛以外に、月経量が多くて一時間でナプキンが漏れる(過多月経)、レバーのような塊が出る、生理以外の時期にも腰が痛む、といった情報があれば、医師は隠れた病変を探るための感度を上げます。さらに、自分が「どのような解決を望んでいるのか」を明確に提示することも、有効な診察を引き出す鍵です。「病気がないか確認したいだけ」なのか、「とにかく今の痛みを取り除きたい」のか、「将来の不妊が心配なのか」によって、医師が提案する検査や治療の強度は変わります。もし、通常の検査で何もなかったと言われたら、食い下がって「では、この痛みに対して低用量ピルやジエノゲストといった薬物療法を試すことはできますか?」と自分から治療法を提案してみるのも一つの手です。病院側も、患者の意欲が高ければ、それに応じた手厚いサポートを提供しやすくなります。また、お薬手帳を持参し、これまで試した薬の効果を振り返ることも、医師の処方のヒントになります。医師とのコミュニケーションは一方的な診察ではなく、二人のプロ(体の所有者としてのあなたと、医学の専門家としての医師)による対談であるべきです。情報を整理し、自分の苦しみを可視化して届けることで、病院の「異常なし」という壁を突き破り、納得のいくケアへと繋げることができるようになります。自分の体を守る主役はあなた自身です。その確固たる意志を持って診察室のドアを開けてください。
生理痛で何もなかったと言わせない受診情報の伝え方