眠れないという症状は、それ自体が非常につらいものですが、時として、その背後にうつ病や不安障害といった心の病気が隠れていることがあります。このような場合、不眠は病気の一症状として現れているため、睡眠薬で眠れるようにするだけでは根本的な解決にはならず、原因となっている心の病気そのものを治療する必要があります。もし、あなたが不眠に加えて、以下のような症状を自覚しているなら、一度立ち止まって自分の心と向き合ってみる必要があるかもしれません。うつ病の代表的なサインとして、まず挙げられるのが「気分の落ち込み」と「興味や喜びの喪失」です。以前は楽しめていた趣味に全く興味がわかない、テレビを見ていても面白いと感じない、何をするのも億劫で、朝ベッドから起き上がるのがつらい。こうした状態が二週間以上続いている場合、うつ病の可能性が考えられます。食欲の変化(全く食べられない、あるいは過食になる)や、自分を責める気持ち、死にたいという考えが浮かぶといった症状も、重要なサインです。不眠のパターンとしては、寝つきが悪いだけでなく、夜中に何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めてしまい、そこから悶々と悩み事を考え続けて眠れなくなったりする(早朝覚醒)のが特徴的です。一方、不安障害では、漠然とした、しかし非常に強い不安感や心配事が常に頭から離れず、リラックスできないために眠りにつくことができません。動悸や息苦しさ、めまいといった身体的な症状(パニック発作)を伴うこともあります。これらの心の症状が原因で眠れない場合、相談すべき専門の診療科は「精神科」または「心療内科」です。専門医は、あなたの心の状態を丁寧に評価し、抗うつ薬や抗不安薬といった薬物療法や、カウンセリングなどの心理療法を通じて、心の回復をサポートしてくれます。心の病気は、特別なものではなく誰にでも起こりうるものです。つらい症状を一人で抱え込まず、専門家の助けを求めることが、穏やかな夜と元気な毎日を取り戻すための第一歩です。