風邪を引いた際に自分にぴったりの診療科を導き出すために、症状を分類して考える「自己診断チャート」のような思考法を持つことは非常に有益です。まず、風邪の症状を「全身症状」と「局所症状」の二つに分けて考えてみましょう。全身症状とは、三十八度以上の発熱、寒気、筋肉痛、関節痛、全身のだるさ、食欲不振などを指します。これらが主役であるならば、体内でウイルスが増殖し、全身が戦っている状態ですので、一般内科が最適な受診先となります。内科では、インフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査はもちろん、脱水に対する点滴や、二次的な細菌感染に対する処方がスムーズに行われます。次に局所症状ですが、これは鼻水、鼻詰まり、喉の痛み、痰、咳、声枯れ、耳の痛み、耳の聞こえにくさなどを指します。特に「鼻と喉」に症状が集中しており、熱はそれほど高くない、あるいは熱は下がったけれど鼻や喉の不快感が残っているという場合は、耳鼻咽喉科への受診が最も効果的です。耳鼻科では、鼻の奥を洗浄する「鼻洗浄」や、喉に薬剤を噴霧する「ネブライザー」といった処置が行われ、これが呼吸を楽にし、合併症である副鼻腔炎の予防にも繋がります。さらに、少し特殊なケースとして、目が充血している、目やにがひどいといった「目の症状」を伴う風邪の場合は、アデノウイルスなどによるプール熱の可能性もあるため、眼科の受診が必要になることもあります。また、吐き気や下痢、腹痛が主症状となる「お腹の風邪」であれば、消化器内科を掲げている内科が、より専門的な薬剤処方や腹部エコー検査を行ってくれるでしょう。何科に行くべきか迷った際の一つの目安は、過去の自分の「負けパターン」を思い出すことです。風邪を引くといつも副鼻腔炎になって顔の周りが痛くなる人は耳鼻科、喘息持ちで必ず咳が長引く人は呼吸器内科、といった具合です。病院に行くことは、単に薬をもらう作業ではなく、プロの目によって現状を評価してもらい、今後の悪化を食い止めるための戦略を立てることです。自分の体調を客観的に観察し、主症状と随伴症状のバランスを天秤にかけることで、自ずと進むべき科の扉は見えてくるはずです。もし、それでも迷うのであれば、総合病院の受付で症状を伝え、トリアージ(優先順位と適切な科の振り分け)を任せるのも、立派な医療利用のノウハウと言えます。
風邪の主症状と随伴症状から導き出す診療科チャートの活用