手足口病に大人が感染してしまった際、まず直面するのは「どうやってこの激痛を鎮めるか」という切実な問題です。病院に行っても特効薬がない以上、自宅での過ごし方が回復までの時間を左右します。まず最も重要なのは、口腔内の激痛対策です。口内炎が喉まで広がるため、通常の食事が不可能な場合は、無理をせずに冷たくて喉越しの良いものに特化してください。バニラアイスクリームや冷やしたゼリー、冷めたポタージュスープ、あるいは冷やし豆腐などが比較的痛みを感じにくい食材です。逆に、柑橘系のジュースや塩味の強いスープ、熱い飲み物は患部を激しく刺激して炎症を悪化させるため、厳禁です。水分補給についても、一度に多く飲もうとせず、ストローを使用して舌や喉の痛む部分を避けて少しずつ流し込むのがコツです。経口補給水などを常備し、脱水を防ぐことが最優先事項です。次に、皮膚の痛みと痒みへの対処ですが、手のひらや足の裏が熱を持って痛む場合は、保冷剤をタオルで巻いて優しく冷やすのが効果的です。ただし、冷やしすぎると血流が悪くなり回復を遅らせることもあるため、あくまで痛みが我慢できない時の緊急避難的な処置として行ってください。痒みが強い場合には、市販の抗ヒスタミン薬や、医師から処方された鎮痒剤を使用し、無意識に掻き壊さないようにすることが大切です。掻き壊すとそこから細菌感染を起こし、さらに治療が長引く恐れがあります。また、発熱がある期間は体内の水分とエネルギーが激しく消費されます。消化に良い高エネルギーの食品、例えば栄養補助ゼリーなどを活用し、免疫力がウイルスに打ち勝つための燃料を絶やさないようにしましょう。家庭内での二次感染防止も徹底しなければなりません。手足口病のウイルスは、喉からは発症後一週間程度、便からは数週間にわたって排出され続けます。同居する家族がいる場合は、タオルを完全に別々にし、お風呂は発症者が最後に入るか、シャワーのみで済ませるのが賢明です。また、ウイルスはアルコール消毒に対して抵抗力があるため、基本は石鹸による流水手洗いを徹底してください。ドアノブやスイッチなど、よく触れる場所は薄めた塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)で拭き取ることが、家庭内パンデミックを防ぐ鍵となります。精神的な面でも、大人の手足口病は孤独な戦いになりがちですが、必ず終わりは来ます。痛みのピークは三日から五日程度で、それを越えれば急速に楽になります。今は体がウイルスと戦うための「休暇」だと割り切り、仕事のことは忘れて徹底的に横になることが、最短で社会復帰するための近道です。自分の体の回復力を信じ、一歩ずつ慎重にケアを続けていきましょう。
大人の手足口病を最短で乗り切るための家庭内療法