それは、冷え込みが厳しくなり始めた十一月の終わりのことでした。最初は少し喉がイガイガする程度の違和感でしたが、その日の夜中に突然の悪寒に襲われ、体温を測ると一気に三十九点四度まで跳ね上がっていました。翌朝には胸の奥を掻きむしるような激しい咳が出始め、一回咳き込むたびに頭が割れるような痛みが走り、私は自分の身体の中で何かが壊れていくような恐怖を感じました。当初は流行りのインフルエンザだろうと考え、解熱剤を飲んでベッドで安静にしていましたが、二日経っても熱は三十九度台から一向に下がらず、咳はさらに深みを増し、横になると自分の喉から「ゼーゼー」という不気味な音が聞こえてくるようになりました。三日目の朝、鏡を見ると顔は土気色で、少し部屋を歩くだけで息が切れて立ち止まってしまう自分に驚き、私は這うようにして近くの呼吸器内科を受診しました。レントゲン検査の結果、私の右肺の半分は真っ白に霞んでおり、診断は中等症の細菌性肺炎でした。医師からは「あと一日遅れていたら入院、最悪の場合は人工呼吸器が必要でしたよ」と言われ、背筋が凍る思いがしました。そこから一週間にわたる強力な抗菌薬の点滴と、自宅での完全な隔離生活が始まりました。高熱による脱水症状を防ぐために、経口補給水を一日に三リットル近く飲み、食欲がなくても栄養補助ゼリーを口に運び続ける日々は、まさに自分との戦いでした。一番辛かったのは夜間で、肺の炎症による刺激で咳が止まらず、一睡もできない夜が三晩続きました。咳をしすぎて腹筋が筋肉痛になり、胸の痛みで深く息を吸うことができず、酸素が足りないということがこれほどまでに精神を追い詰めるものなのかと痛感しました。五日目になり、ようやく熱が三十七度台まで落ちたとき、私は初めて「生きて帰ってこられた」という安堵感に包まれました。完治したと言えるまでに丸三週間を要し、元の体力が戻るまでには二ヶ月近くかかりました。今回の体験を通じて私が学んだのは、大人の高熱と咳を「ただの風邪」と侮ることの危うさです。私たちは日々忙しさに追われ、自分の健康を後回しにしがちですが、身体のSOSはいつも明確に発せられています。あの日、呼吸器の専門医を訪ねた自分の判断が、今の私の生活を支えています。今、同じように高い熱と激しい咳に耐えながらこの記事を読んでいる方がいるなら、どうか自分の体力を過信せず、一刻も早く病院へ向かってください。肺炎という病気は、音もなく忍び寄り、一気に命を脅かす力を秘めているのです。私のこの苦い経験が、誰かの受診を促すきっかけになることを心から願っています。
止まらない咳と高熱に襲われた私の肺炎闘病記