日常生活の中で、中学生や高校生の子どもが体調を崩した際、小児科と内科のどちらを選択すべきか迷ったときの「判断の物差し」をいくつかご紹介します。まず、第一の基準は「症状の継続性」です。もし、その不調が赤ちゃんの頃から繰り返しているもの、例えばアレルギー性鼻炎や喘息、アトピー性皮膚炎などであれば、これまでの経過を熟知している小児科を受診するのがベストです。逆に、タバコの煙や飲酒(法的には厳禁ですが)、あるいは社会的なストレスなど、大人に近い環境因子が原因と思われる症状であれば、内科の方が適切な診断を得られる場合があります。第二の基準は「体格」です。最近は中学生でも大人顔負けの体格を持つ子が少なくありませんが、体重が五十キロを超えているのであれば、多くの薬剤において大人と同じ用量が適用されます。この段階になれば、内科での診療に身体的な支障はありません。しかし、体格は大きくても骨の成長が止まっていない「成長期」特有の痛み(オスグッド病など)や、ホルモンの変化が激しい時期の不調であれば、やはり小児科、あるいは整形外科などの専門科が優先されます。第三の基準は「予防接種の履歴」です。子どもの予防接種スケジュールは非常に複雑で、追加接種や打ち漏らしの確認が必要な場合があります。高校生になっても、ワクチンに関する相談は小児科の方が情報が蓄積されており、スムーズに対応してもらえます。アドバイスとして特にお伝えしたいのは、近所の診療所(クリニック)と大きな総合病院では、対応が異なるという点です。個人の診療所であれば、十八歳や二十歳まで診てくれる柔軟なところが多いですが、総合病院の小児科は、重症患者を優先するために「十五歳以下」という厳格なルールを設けていることが一般的です。受診前に、電話で「〇歳ですが診ていただけますか?」と一言確認するだけで、無駄な足を運ぶことを防げます。また、本人の「プライド」も尊重してあげてください。思春期の子どもにとって、待合室で知り合いのママ友に見られたり、幼児向けのおもちゃに囲まれたりすることは、想像以上のストレスになることがあります。もし本人が「内科に行きたい」と言うのであれば、それは自立のサインとして受け入れ、内科デビューをサポートしてあげましょう。逆に、不安が強いタイプの子であれば、高校卒業までは「安心できる避難所」として小児科を活用し続けるのも一つの立派な選択です。数字上の年齢よりも、その子の「心と身体の現在地」を見極めることが、親として最も賢明な判断基準となります。