それは生後八ヶ月になったばかりの息子が、ある日の夕方、急に体が熱くなったことから始まりました。いつもは元気にハイハイをしている息子が、私の膝の上でぐったりとして、顔が真っ赤に火照っていたのです。体温を測ってみると、表示されたのは三十九度八分。初めて見る高熱に私はパニックになり、震える手ですぐに夜間救急の電話番号を調べました。病院に到着し、先生に診てもらったところ、「喉もそれほど赤くないし、鼻水も出ていないから、おそらく突発性発疹でしょう」と言われました。その時に処方されたのは、解熱剤の坐薬が数個だけでした。先生からは「ウイルス性の病気だから、薬でウイルスを殺すことはできないけれど、あまりに辛そうならこの坐薬を使ってあげてね」と説明を受けました。家に帰ってからも熱は一向に下がる気配を見せず、夜中にはついに四十度を超えてしまいました。私は薬を使うべきか非常に迷いましたが、息子が苦しそうにうなり声を上げ、おっぱいも飲めない状態だったので、思い切って坐薬を入れました。それから三十分ほど経つと、少しだけ呼吸が穏やかになり、ようやく息子は深い眠りにつくことができました。あの時、薬の力で一時的にでも楽にさせてあげられたことで、私自身の心も少しだけ救われた気がします。翌日も熱は続き、私は仕事も家事もすべて放り出して、ただひたすらに息子のそばで経口補給水を一口ずつ飲ませ続けました。先生から「特効薬はないから、水分補給が一番の薬だよ」と言われていたからです。三日目の朝、嘘のように熱が三十六度台まで下がり、安堵して涙が出そうになったのも束の間、今度はお腹や背中にうっすらと赤い斑点が出てきました。それと同時に、熱があった時よりも激しい「不機嫌」が始まったのです。何をしても泣き止まず、抱っこをしても反り返って拒絶する姿に、私は「あぁ、これが噂の不機嫌病か」と覚悟を決めました。この不機嫌さに対しても、当然ながら効く薬はありません。私はただ、ボロボロの体で息子を抱きしめ、いつか必ず終わると自分に言い聞かせました。発疹が出てから三日後、ようやく息子に以前のような笑顔が戻り、私の長い一週間は終わりました。振り返ってみると、あの時処方された少量の解熱剤は、病気を治すためのものではなく、私たち親子がこの過酷な一週間を生き抜くための「お守り」のような存在だったのだと感じます。突発性発疹は薬が主役の病気ではありませんが、薬の役割を正しく知っていたことで、私は必要以上に不安にならずに済みました。熱が出ている間の不安、そして解熱後の凄まじい不機嫌。それらすべてをひっくるめて、息子が一つ強くなった証拠なのだと、今では誇らしく思えます。これからこの病気を迎えるお母さんたちには、薬を上手に使いながら、どうか自分の体も大切にしてほしいと伝えたいです。